貉(ムジナ)とは、本土ではアナグマを指すことが多いようですが、佐渡ではタヌキのことを貉、又は「とんちぼ」などと呼びます。

佐渡にはたくさんの貉にまつわる伝説が残っていて、巷で人気の妖怪ウォッチに勝るとも劣らない、個性豊かなキャラクター(貉)たちがいたそうな。

有名どころは二ツ岩団三郎親分。ジブリ映画『平成狸合戦ぽんぽこ』にも登場した団三郎貉は、相川の二ツ岩大明神に祀られています。
 
◎車での二ツ岩大明神への行き方◎
・佐和田から県道31号線を相川方面へ、途中「相川中学校入口」の信号を右に曲がって600m程直進
・右手に案内看板とともに右に入る道があるので右折、細い道をひたすら1km程行くと左手に鳥居が現れる
※Googleマップのストリートビューでも確認できます(それだけ行く人が多い⁉)

さて、図書館で見つけた山本修之助の『佐渡の貉の話』には、なんと「佐渡むじな大番附」なるものまで...。
西の穴横綱はもちろん団三郎貉、そして東の穴横綱は赤泊徳和の禅達とあります。
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この本によると、佐渡には団三郎親分の下に四天王貉がいて、その一匹に新穂潟上にある湖鏡庵に祀られている「財喜坊」という貉がいたのだそうです。
ちなみに、他3匹は徳和の禅達、関の寒戸(佐武徒)のお杉、真野新町おもやの源助。偶然か、協力隊員の配属地区と被ります!(他の地区の貉をさす場合もあり。)

昨日は久しぶりにお天気も安定していたので、早速湖鏡庵へ行ってきました。
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佐渡四国八十八か所霊場の一つである湖鏡庵の参道脇に、財喜坊が祀られています。
なんだか今にも貉に化かされそうな雰囲気のある場所です。竹藪の竹が四方に倒れかかっているのは、ここ最近の大雪のせいでしょうか。

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ある晩、盗人が寺のものを盗んで逃げようとしたところ、財喜坊貉得意のたぶらかしで、道に迷い、境内を行ったり来たりさせられ夜が明けた。そしてとうとう捕まってしまったとさ。(『佐渡の貉の話』参照)

佐渡の貉は金山全盛期、錬金に使う鞴(ふいご)の革に使われるため、本土から入れられ、一気に増えたのだそうです。ムジナ信仰も、佐渡金山の遺産の一つと言えますね。

タヌキ掘り 金銀とうに 堀り尽くし 後に残るは 妖怪ばなし

◎車での湖鏡庵への行き方◎
・県道65号線(南線)を両津から新穂方面へ、天王川を渡って350m程進み、右へ上っていく道を右折
・150m程上ると道路がY字になったところの手前に、右手へ上がる道(ヘアピンカーブのように上っていく道)があり、湖鏡庵の門前(駐車スペース)へ続いています
※財喜坊の祠は、県道に面する参道、もしくはそこから右へ入った上り坂の途中から行けます