この季節になると佐渡の各地で庭や道端に椿の花が落ちています。完璧に美しくて存在感があって儚い。道に落ちた椿の花がほんとうにもったいない、佐渡の椿の色を染めたい!と思い椿の花びら染をしてみました。佐渡にはこのようなお宝がいっぱいあるんだから。

落ちた椿の花を拾うのですが本当に簡単ですぐ集められました。
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集めた花は芯を取ります。切紙で作ったような芯です。
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花びらだけ集め、100gの糸に対して贅沢に300gの花びらを使います。きれいに洗ってミキサーにかけ、クエン酸を溶かした水で色素を取り出します。ワインのような濃いピンクの染料水に精練した木綿糸を投入し一晩浸けこみます。
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まるでピンクのそうめんばかり集めたような鮮やかな糸に染まりました。こんなにきれいに染まるなんて驚きです。乾かしてみたらほんのりお花のフレッシュな香りがします。
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一番液、二番液で染めてみたり、二度染、三度染していろいろな色を作ってみました。そして椿染の糸も入れててまりを作りました。草木染めを楽しみました。
佐渡 草木染め

この花びら染は熱に弱く、アルカリに弱く、直射日光に弱い。化学染料に到底及ばないほど堅牢度が低く、色の安定性や再現度も低い。しかしこの色は人と一緒に刻々と変化しています、最初は鮮やかな色が空気に触れ、だんだんと落ちづいた色になっていき身に着けた人とともに歳月を重ねます。そして五年たてばもう一度染め直します。私たちがこの時とこの色を引き留めているのだと思うと花びらにお礼を言いたくなりますね。