隊員が関わる物事のなかには、数字や実績という表面的なものだけでは計ることのできない、目に見えないの部分での「成果」があように感じる。

それは、日々の積み重ねや、地域との関わりの中で生まれる、ほんの小さな出来事に過ぎず、「たかがそれごときで」と、思われてしまうような些細な事かも知れない。

それでも、本当に、本当に、嬉しかった出来事があった。

その出来事は、4月11日、大倉祭の日に起きた。

集落の方から、
「あなたに来てもらえて良かった。本当に、ありがとう。」 
と、思いがけない言葉をかけていただいた。

これ以上の言葉がどこのあるのだろうかと、心底うれしく、胸の内がじんわりした。


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私が大倉祭に参加するのは、今年で3度目だ。

集落住民だけではすべての芸を行うことができなくなってから何年も経つこの祭では、これまで、祭を守るための「変化」を受け入てきた。

その一つに「よそ者の参加」がある。

島内の各地域には、祭における人員確保が難しい集落や、継承のために様々な変化を強いられるところが多いと聞くが、この、大倉集落も例外ではない。

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祭を良く知る人は徐々に高齢となり、その方の話に耳を傾けることに一生懸命にならなければいけない時代が来ている。

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(村で祭を良く知る田中信保さん)


当初、私がこの祭に参加した理由は、単に人員不足だからというだけのものだった。

が、関わるほどにその深さを知り、伝統を受け継ぎ、祭を守ろうとする人々の姿に、何度も心を打たれた。

そして、参加の回を重ねるごとに、その思い入れも強くなった。

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(美しい宵宮の提灯)

それだけに、この日、集落の方にかけていただいた言葉が本当に嬉しく、
自分が協力隊でいることを、初めて肯定的に思えたような気がした。


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(芸の指導をしてくれた田中信保さんと。)


やりがいをもって取り組めることに出会えたことは、自分にとって、一つの小さな成果だった。そのなかで、静かな達成感を味わうことができたことも、わたしにとっては、とてもうれしい出来事だった。