佐渡には稲わらや竹など地域のさまざまな資源を活かした手仕事が受け継がれてきています。岩首集落では、私たちの周りからほとんど消え去ってしまった「ぞうり」や「わらじ」が今でも細々と作られています。そして、これらは、島の鬼太鼓やさまざまな神事に使われていて、佐渡の伝統を支える、無くてはならない工芸品となっています。

 通常わらじは稲わらで作りますが、岩首では、「フトイ」(地元ではオオイとかウウイと呼びます)という植物の茎を使って作る方が結構いらっしゃいます。稲わらよりも繊維に弾力があり、はき心地がよいのが特徴です。

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昨年のことになりますが、岩首に来たのが良い機会だと思い、私も地元の手仕事の先生のおばあさんに教わりながら、ぞうり作りに挑戦しました。左右の大きさを揃えるのはもちろん、つま先やかかとの形を整えるのが難しく、おばあさんたちに手取り足取りをしてもらいながら仕上げました。

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おばあさんたちは小さい子どもの頃から稲わら細工に親しみ、技術を身に着けてきました。おしゃべりしながらも手を休めることなく、次から次へとぞうりやわらじを作り上げていくのは、熟練のなせる技だと思いました。
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今年(令和2年)に入って岩首集落のわら細工名人のみなさんが新聞や冊子に紹介されました。 1月の新潟日報には、わらじ作り名人のみなさんが紹介されました。
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4月には、佐渡文化財団発行の「佐渡の手仕事」という冊子にぞうり作り名人が紹介されています。
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みなさんのお歳は7080代!現役で作り続けています。「この歳になっても働けることがありがたい」とお話されます。やりがいをもって働き続ける姿は、生き生きとしていて、素敵な人生を過ごされているように見えます。私も岩首の人のように、ていねいに年を重ねながら元気に長く働いていけたらいいなと思います。まずは、みなさんからひとつひとつ知恵や技術を教えていただこうと思います。