佐渡市地域おこし協力隊サイト

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交流

佐渡島の豊かな里海でとれた新鮮な魚を、島外の人に調理して楽しんでいただこうと「オンライン魚さばき教室」を企画しました。

 新型コロナウイルスの感染が広がり、さまざまな活動が制限されている中で、今回は、地元岩首の漁師さんと都市圏にお住まいの方々のご自宅の台所をインターネットでつなぐ「オンライン形式」で開かせていただきました。

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 魚のさばき方を教えてくださったのは、岩首集落で家族で漁業を営む女性です。
普段から島内の学校を訪問して、たくさんの子どもたちに魚料理や魅力を伝える活動をされている、とても頼もしい方です

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 感染症拡大の影響で、これまで盛んに行なってきた対面の体験や交流の活動が中止となっていたところ、今回、活動の幅を広げるという実験的な意味もかねて、オンラインの講師役に挑戦していただきました。うれしいことに、この企画に東京と大阪にお住まいの方4名に参加いただきました。

料理教室に先だって、各ご家庭に佐渡の海でとれた、アジ、ウマヅラハギ、スルメイカの3種類の魚介に、魚料理にぴったりの岩首棚田のお米も一緒に入れて、お届けさせていただきました。
メニューは盛りだくさん!

・アジのお刺身とたたき、

・ウマヅラハギのお味噌汁、

 ・スルメイカのゴロ煮
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 実は、今回の教室に先だって、モニター試験も行なっており、その際は、イナダを送って、いろいろな魚料理を作っていただきました。 
その時のお客さんからの反応もよかったということもあって、

「これで準備OK!万全の形で本番にのぞめますね」
とお話をしていました。

 しかし、開催日が近づいてくると、予定していたイナダの水揚げがなくなったため、急きょ魚種を変更させていただく形となりました。
「大丈夫かな…」
と内心ドキドキしていましたが、私の心配をよそに、講師の先生の明るく柔軟な対応で、終始なごやかな雰囲気で順調に進んでいきました。

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主役のアジは3枚おろしに挑戦しました。
包丁はまな板と平行にしてくださいね
骨にたくさん身がついても気にしないでくださいね。あとで使いましょう
皮をはぐのは難しいですよね。残っても大丈夫ですよ
包丁の動かし方や、さばく順序など、1つずつポイントを押さえながらお伝えしました。

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あれっ?

えっ!
進めるごとに不安そうな声もモニターの向こうから聞こえてきました。

途中で皆さんの様子を見せていただくと、上手にさばいていてホッとしました。

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ウマヅラハギは、上品な白身と脂が乗った肝を持ったおいしい魚で、佐渡ではコウグリと呼ばれています。スーパーなどでは皮がはがれた状態で売られていることが多いようです。今回は、もちろん、皮をはぐところも体験していただきました。ペリペリと音を立てながら、きれいに、しかも意外と簡単に皮がむけていきます。参加者から楽しそうな歓声があがりました。

スルメイカはワタと胴体を離し、スミ袋を取り除くまで、ていねいに1つずつコツをお伝えしました。
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 魚さばきの合間には、佐渡地域振興局の職員さんから佐渡の里海と里山、世界農業遺産などをPRしていただきました。

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 慣れないオンライン形式で伝え方の難しさもあり、とまどうことも多かったですが、一緒に魚料理を体験しながら、ゆっくりと時間を共有することで、地元の方と交流を深めていただくことができたのではないかと思います。
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参加された皆さまからは、

「気軽に旅行に行けない状態でしたが、今日は旅先に来たような雰囲気で参加できました。」

「ていねいな説明で一生懸命伝えようとしている事がひしひしと伝わりました。」

「佐渡の皆さんとの話も楽しく、やさしい雰囲気でリラックスして取り組めました。料理したものはどれもおいしく(ご飯も最高!)、作ったものが夕飯でそのままいただけるというのも良いですね!」

「佐渡島への興味もわいて、あの素晴らしい棚田をいつか必ず見に行きたいなぁと思いました。佐渡島ステキですね!」

「初めてのオンラインの料理教室でしたが、想像以上に楽しかったです。」

「和気あいあいとして親戚同士で調理しているような雰囲気がとても良かったです」

「慌ただしい毎日の中で、とてもリラックスできました」

たくさんのうれしい言葉をいただきました。
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都会で暮らす人たちもさまざまな制限を受けて過ごされています。
そんな中で、普段の生活からしばし離れ、佐渡の人とお互いにモニターや魚に顔を「間近に」近づけて、楽しくお話をしながら、一緒においしい料理をつくるというとても楽しい時間と場所をつくることができました。

「佐渡が大好き」

「佐渡で頑張っている方を応援したい」

「魚さばきって楽しそう」

「写真で見た棚田と海の景色の美しさに魅了されて」

皆さんそれぞれの「思い」で参加くださいました。

佐渡の海で働く漁師さんのお話を実際に聞きながら、1つずつ手ほどきをうけて、自分の手で1つずつおいしい魚料理をつくっていくということは、普通の旅行ではなかなか得られない経験だったのではないかと思います。
オンラインの集まりには、良さ・悪さ、両方があるかと思います。
けれど、新たな挑戦で、活動の幅を広げることができました。
初めての試みで、至らない点も多々ありました。
今後に生かしたいと思います。


こういった取組を通して
「佐渡の魚介類やお米を食べてみたい」
「いつか佐渡島へ行ってみたい」
「佐渡のあの人に会いたい」
という思いを持ってくれる人を少しずつでも増やしていくことができればいいなと思っています。

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そして、次はどんな企画をしようか…思案中です。

 このイベントを開催するにあたり、企画、集客、撮影などたくさんの方に協力をいただきました。

みなさんありがとうございました!

 随分前のことになりますが、岩首集落のおばあさんから『もんぺ』の作り方を教えてもらいました。
もんぺは、昔は野良仕事には欠かせない仕事着でした。洋服が普及してから、着る人があまりいなくなりましたが、腰回りがゆったりしていて動きやすく、すぐれた衣服です。

 最近では若い人が現代風のおしゃれなものを開発するなど、その価値が見直されてきています。もんぺをはいているおばあさんを見かけたときに、その姿がとてもかわいいと私も思いました。
昔から愛用されてきた服には、今の服にはあまりない温かみがあって、機能もすぐれているものが多くあります。時代の流れの中で消えていくには寂しい文化だと思います。

 昔は、自分でもんぺをつくっていたと聞き、せっかくの機会なので実際に作り方を教えていただきました。
 もんぺを縫う布には、おばあさんの着物を利用しました。1着の着物から2人分のもんぺを縫うことができます。
 最近の『もんぺ』はウエスト部分にゴムが入ったものが多いですが、今回は、おばさんが若いころから実際に愛用してきた、前後を紐で結んで締めるはかま型の本格的なもんぺです。
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裁縫が苦手な私。

最初は「難しそう…完成するのだろうか…」と思っていました。

けれど、実際には直線裁ちと直線縫いで作れるので、思っていたよりもスムーズにできあがりました。
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 おばあさんが若かったころは、実家に帰省した時に新しい反物でもんぺや上っ張り(上着)を縫ったそうです。
 日本がまだ貧しかった時代。
 女性たちは毎日休むことなく早朝から夜遅くまで農作業や家事に勤しみました。
自分のために身に着ける物を仕立てるような時間が持てるのは、帰省した時だけだったのかもしれません。

「実家に帰る時期をいつも楽しみにしていたよ」

時にはそんな昔の懐かしい話をしながら、少しずつもんぺを縫い上げていきました。
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朝から作業を始めて夕方にはなんとか完成しました。

20年ぶりくらいにもんぺを作ったよ」

とおばあさん。

もんぺは着なくなった着物を無駄なく活用でき、家庭菜園や掃除の際など今の暮らしの中にも取り入れやすいと思います。

おばあさんが使っていた着物に手を加えることで、私が着るもんぺに変身しました。

生まれ変わったものを、これから大切に受け継いで身に着けようを思います。

今は、着る物は既製品を購入すれば簡単に手に入れることができます。

そんな時代の中でも、おばあさんのモノを大事にする心や、知恵と工夫を凝らした暮らし方は、たくさんのことを教えてくれます。

 岩首集落には、ぞうりやわらじ作りの名人がいらっしゃいます。
夏前の話になりますが、島内の女性2名に布ぞうり作りを体験していただきました。もちろん教えるのは、岩首集落の名人のおばあさんです。
 一般的には「ぞうり」は「稲わら」を編んで作りますが、「布ぞうり」では稲わらの代わりに「木綿の布」などを使います。布でできているため、洗うこともでき、夏には素足ではくと気持ちがよいので、最近愛用する人が少しずつ増えてきているとか。ぞうりをはくと足の指をしっかり使って歩けるので健康にもよさそうです。 また、身近にある布や古着を再利用できるので、一般的な家庭でも取り組みやすいという長所もあります。思い出のこもった服を新たな違う道具として生まれ変わらせ、それを再び身に付けられるという楽しさもあります。
 ぞうりは、足を使って編んだり、「編み台」という専用の器具を使って編んだりと人によって作り方が様々ですが、今回は、足を使って編んでいただきました。
布ぞうり1 (1)ぞうりを自分で作るなんて難しそう…と最初はそう思いがちです。
確かにコツをつかむまでは少し難しく感じますが、慣れてしまえばスイスイと編むことができます。
わからないところは、おばあさんが手取り足取り教えてくれました。
おばあさんは手を動かしながら口も滑らかに動いていきます。
「おばあさんの手は魔法の手ですね!」と生徒さんが驚いていました。

おばあさんは「子供の頃から作っているからね」とおしゃべりしながらスイスイと編み上げていきます。

生徒さんは、おばあさんの無駄のない手の動きに見入っていました。

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布ぞうり1 (3)最後の鼻緒やかかとの部分はきれいに作るのは難しいので、おばあさんに手伝ってもらい、なんとか完成しました。いろいろなお話を聞きながらゆったりと取り組んでもらったので、1日がかりの仕事となりました。おふたりとも今回の体験をとても楽しんでいただいたようで、

家でも作ってみます!」
と言って、編み方がわかりにくい「つま先」部分をいくつも編んで持ち帰っていました。

おばあさんは、「わざわざ岩首まで、ぞうりを習いにくるなんて」と苦笑いしますが、いつも快く対応してくださいます。

80歳を過ぎたし、私が教えられることは何でも教えるよ。こうやって新しい人との出会いがあるのも楽しいね」と訪れた人を笑顔にします。

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 一昔前まではぞうりやわらじは必需品でした。これらをつくりあげる「手仕事」は、生活に根差した技術として代々受け継がれていました。しかし、生活様式の変化とともにその必要性が薄れ、技を伝えられる人が少なくなっています。里山で暮らす豊かな知恵や技術の伝承が途絶えつつあることは、とても残念なことです。

 一方で、近頃はこういった民芸品の価値が見直されてきています。今回のようにぞうりの編み方を知りたいと言ってくれる人が出て来ていることは嬉しいことです。
私も、少しずつ岩首のみなさんが持つ知恵や技術を学び、伝えられるようになりたいと思っています。そして、いつの日かおばあさんと一緒に布ぞうり教室を開催して、多くの人に魅力を伝えていければいいなと思っています。

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