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佐渡めぐり塾

佐渡めぐり塾は、身近にある自然や島の暮らしに息づくGIAHS(世界農業遺産)について、楽しみながら学べる体験プログラムです。

第9回目となる今回は、竹林から日々の暮らしへ そのつながりに触れる編です。

舞台は宿根木です。竹林や竹について学び、切り出しの体験や、竹を使った日用品づくりにチャレンジしてみませんか?
普段は入ることのない竹林と竹の魅力に迫ります。

日時 2019年3月30日(土)
   9時集合 16時解散
集合・解散場所 佐渡市役所本庁 駐車場(千種232)
定員 20名(先着順・要申込)
対象 島内の小学生・中学生とその親御さん(大人のみの参加もOK 但し親子優先です)
参加費 大人1000円 小・中学生500円(昼食&お土産付)
持ち物 軍手・飲み物・雨具・長靴・帽子
その他 寒くなく、汚れても良い服装

申込み・問い合わせ
(一社)佐渡生きもの語り研究所
メール ikimon@sado-ikimonoken.jp
電話・FAX 0259-22-2658

ご参加お待ちしてます。
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佐渡の世界農業遺産(GIAHS)を親子で体験しながら学ぶ「佐渡めぐり塾」。


223日に番外編として行った「おこしをつくろう」編を紹介します。

 
春の節句、佐渡伝統菓子のおこしをご存知ですか?

佐渡では春の節句に、おこし型と呼ばれる伝統的なお菓子を、家々で雛かざりと一緒にお供えする習わしがあります。

おこし型は花や動物などを模った木型に、赤・緑・黄などの色に染めた団子生地をつめてあんこを入れ、型抜きして椿の葉にのせて蒸したものです。

 
今回の講師は佐渡総合高校のみなさん。

世界農業遺産(GIAHS)とは何?と題した大人向けの発表、小中学生への出前授業、JAとの協業で米卸売業者への佐渡米のPRや、商品開発、農業ボランティアへの取り組みなど、地域への啓発、交流活動は多岐に渡っている。

特に、お米の田植えから稲刈り収穫までを実習と、このお米を使ったおにぎりメニューの開発や、耕作放棄地の草刈りのボランティアや耕作放棄地(小倉千枚田の一部)を借り受けての小豆の栽培、栽培した小豆を使用した伝統食「おこし」の作り方の小学生への食育授業など、食文化継承、地産地消に力を入れています。

そんな佐渡総合高校の生徒さんに「おこし」作りを教えてもらいます。

 
材料となる米粉やあんこは佐渡産、椿の葉はトキ交流会館の裏の山で手に入れました。

今回は、残念ながら生徒さんの作っているあんこは売り切れとのこと。すごく人気があるようです。

まず、団子生地を作る工程です。

湿度によって分量は変わりますが、耳たぶくらいの柔らかさが良いそうです。

ひたすらこねていきます。

こねた生地を丸めていきます。

丸めた生地の中から3つを、それぞれ食紅につけてこねていき、色を赤色、緑色、黄色の3色にしていきます。

だんだん色がついていくのを楽しんでいたのが印象的でした。

 

生地の中に入れるあんこを丸めていき、団子生地に包んでいきます。_DSC9863
ここからがおこしづくりの醍醐味。

おこし型を選び生地を型に詰めていきます。
型の種類が豊富で様々な形がありました。

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こちら全て総合高校生の農業クラブの生徒さんの手作りのものです。
各々気に入ったおこし型をとり、生地を型に詰めていきます。
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色のついた生地を先に詰めて白い生地で蓋のようにします。

僕も挑戦しましたが、ウサギが白いので比較的簡単につくることができました。

器用な子は自分で桃の色を作って桃の型で作る子も。

型に詰めた生地をとる工程。詰め方が上手だと綺麗にとれます。
型取りできた生地を蒸していきます。
15分程蒸すと、


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綺麗なおこしの完成です。同じように作っても個性がでるようですね。素敵なおこしがたくさんできました。食べるのが少しもったいない気持ちになりますが、温かいうちに食べるのがおいしいです。



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また、参加して下さった方の中には、おこし型を懐かしむ声や、思い出話をしてくださった方もいました。島民の人のお家には多く眠っているというお話も。


春の節句、作る工程が楽しいおこしづくり。これからも佐渡のふるさとの味として残っていってほしいものの一つだと思いました。
参加者の皆様、佐渡総合高校のみなさん、本当にありがとうございました。



古より受け継がれし農と能 後編


午後は能体験のプログラムです。
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初めに能の歴史や、能や、能舞台の特徴を説明してもらいました。
楽謡遊舞【がくようゆうぶ】の会の本間さんと土屋さんが講師で教えて下さいました。
佐渡の能は佐渡金山にたくさんの人が来た時代に、佐渡初代奉行で能楽師でもある大久保長安の影響が大きいと言われているそうです。(諸説あり)
山がもたらすゆとりと豊かな生活が農業や農村を支え、豊作を願う農業神事として継承されていき、
農民や商人などの庶民が支え、地域に根付いたことで多い時には200の能舞台があったとも。今では約30が残っています。(日本にある能舞台の約3分の1)
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続いて道具の説明です。実際に能面を被らせてもらったり、太鼓を叩かせてもらいました。
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能面装着 見える穴は小さくて視野がとても狭くなります。能面をつけて踊るのは難しそう。
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実際に能を舞ってみようと稽古。
最初はやっぱり難しいようです。でもみんな楽しく体験できた様子。
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実際に能の披露もしてもらいました。子ども達も教えてもらったあとだったからか、集中して演技に見入っていました。
ここからが本番!牛尾神社の能舞台にも向かいます。

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神社の入り口前から宮司の佐山さんに案内して頂きました。ここから神社へのお参りの仕方などを教わります。
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まず鳥居でみんなでお辞儀
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真ん中は歩かない。左右はどちらを歩くのがいいのかとの質問
どちらかというと左側を歩くほうが謙虚であることを教えてもらった直後...みんな左通行です。
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ここでさっきのお賽銭登場です。この時の為だったのですね。
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参拝の仕方を学びつつ、鳥居、狛犬、しめ縄、夫婦杉などの説明がありました。
牛尾神社の拝殿の彫刻はよく見ると色々なものが彫られています。鯉の泳ぐ姿や順徳上皇の物語絵などの彫刻を見ることができます。
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また、拝殿前の樹齢約1千年の御神木は、子授け・安産の杉として信仰されています。
能舞台の前の広場で、昔は相撲なども行われて、子どもの遊び場でもあったようです
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初めての能舞台での能体験です。
能舞台の壁には松や竹が描かれています。
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みんなに興味を持ってもらえるか不安がありましたが、講師の方の教え方が上手で、みんないい表情で能体験を楽しんでいました。
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特別ゲストで朱鷺が真上を飛んできてくれました。潟上ではたくさんの朱鷺を見ることができます。
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天王川ポイントの板垣さん再登場
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板垣さんの焼き芋。みんな美味しそうに食べていました。

今回開催するにあたりたくさんの方々のご協力を頂いて開催することができました。
次はどんな世界農業遺産(GIAHS)の要素に出会えるのか、楽しみです。
佐渡の暮らしの価値を体験してもらえるプログラムを考えていきたいと思います。

6月12日に牛尾神社で例祭宵宮薪能が毎年行われています。鬼太鼓の披露もあります。
また、6月は蛍がたくさん舞う月でもあります。潟上の風物詩を堪能したあとは、潟上温泉へぜひ。

佐渡めぐり塾とは…

佐渡生きもの語り研究所と地域おこし協力隊が共同企画し、世界農業遺産(GIAHS)について親子で楽しく学ぶ体験プログラムです。

この島が培ってきた農村文化や芸能、そしてトキが舞い降りる生きもの豊かな田んぼを作るため、農家さんが日々行っている努力。
佐渡での生活は、常に「GIAHSな要素」との出会いです。
身近にありすぎて、当たり前になってしまいがちなこの豊かさに、改めて目を向けてほしい。佐渡で生まれ成長していく子供たちに、この土地の魅力を伝えたい!

そんな思いから始まった佐渡めぐり塾。

 
第8回目となるめぐり塾の今回は、農と能をテーマに新穂潟上集落で開催されました。


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テーマ    古より受け継がれし農と能 編


天気もよく春日和な天候となりました。めぐり塾は雨や曇りの確率が高いんです。今回は恵まれました。正直スタッフは、当日までドキドキしてました。

 

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まず世界農業遺産(GIAHS)の説明がされました。

意外と知られてないようですが、佐渡の小学校の給食のお米は、農薬を減らして作られている「トキと暮らす郷の認証米」が提供されています。子ども達は毎日おいしいお米を食べて育っているんですね。


前回の達者でのスタンプラリーが好評のため、今回もスタンプラリー形式で、潟上のあたり前にある宝を巡っていきます。

前回のめぐり塾の様子はこちら

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まず、手作りのマップが配られます。手作りです。参加者限定です。自分が欲しいです。

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マップの中もかなり素敵な地図です。K先輩さすがです。

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2グループに分かれていざ出発~!たくさんの宝に気づけるかな?

★牡蠣小屋ポイント 
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潟上は、新潟県で1番大きい湖である加茂湖があります。
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牡蠣養殖をされている生産者の方から加茂湖や牡蠣についての説明です。
牡蠣筏には里山の恵みである孟宗竹や木々が使われています。孟宗竹と真竹の違いなども学びました。
孟宗竹のたけのこは、えぐみが少ないことから食用としても好まれています。
真竹は茶筅や竹細工によく使われていますね。
写真は何を指してるのでしょうか?牡蠣小屋や、牡蠣筏を見てるのかな?

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牡蠣むき体験スタート。初心者は難しいみたいだけど、上手にできたかな?
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素敵な笑顔です。子ども達に優しく教えて下さいました。牡蠣むき体験ができて羨ましいです。
来年挑戦したいことの一つです。

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終わってから牡蠣むすびもありました。里山と里海の融合ですね。
正直食べたかったです。。。絶対に美味しいやつです。

★城址ポイント
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「この場所は昔どんな建物があったでしょう。」との質問。色々珍回答もあったようです。(笑)

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正解はお城です。潟上城の跡地だそうです。
この辺の屋号に城の下、城の上という地名が今も残っています。
山の斜面と山の平地面を利用したお城だったそうです。
今でも、潟上集落センターとして住民の人の集まる場所になってます。


★検地ポイント 

世界農業遺産なので農地についても学びます。
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昔、米の年貢を決めるために「検地」が行われていました。その広さの単位を表す呼び方の勉強をします。
畝(せ) 反(たん) 町(ちょう)という呼び方や、畝と反の大きさを実際に見てもらいました。
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4つの赤い旗で囲っているのが、1畝の大きさです。
1畝×10で1反で、1反×10が1町です。

また、新穂銀山が栄えたころは、この辺り(湖鏡庵から牛尾神社あたり)に湖岸があり、そこに潟船が来て銀山掘る際の物資を運んでいたそうです。昔はもっと大きい湖だったようですね。


★関所ポイント

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昔の郷土史を紐解くと、おそらくこの付近に関所があり米を納める街道であっただろう場所です。

集落の人から昔の道具を見せてもらったりしました。みんな興味津々。
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アイテム お賽銭ゲット なぜにお賽銭...これは一体...


★天王川ポイント 
天王川の周りにはたくさんの生きものがいます。 
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潟上水辺の会の板垣さんから天王川に生息するホタルや、トキについて解説がありました。
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川からなにか生きもの見えたかな?天王川には、ホタルのエサとなるカワニナがたくさんいます。
潟上水辺の会は、「ビオトープづくり」や生きもの調査を通して、農業と環境の関係性や、生きものを育み、共生することの大切さを子ども達に伝えています。
また、6月には毎年ホタル祭りを行っています。去年初めてスタッフとして参加しましたが、想像以上に綺麗です。おすすめですよ~!

★潟上温泉ポイント ここは古くからある「霊湯」

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素敵なお出迎えが

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潟上温泉のスタッフの方から温泉についての説明
新穂潟上温泉は、順徳上皇に愛されていたという伝説があり、800年の歴史ある佐渡最古の温泉です。
そして、佐渡で唯一の霊泉と伝えられています。
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さぎの湯をゲット。
さぎの湯はきず、あせも、やけどが治ったという声が多数あるそうです。
訪れた時間が早かったため、あとで入れる温泉券もゲット!


スタッフが想定していた時間より子ども達のスピードが速かったです。
ですが、途中でトキが飛んでる様子を目撃できたり、楽しんでもらえたようで一安心です。
スタンプラリーでたくさんの潟上にあたり前にある宝に気づいてもらえたかな?
参加者の方の心に残るスタンプラリーになっていたら嬉しく思います。

★扇子作り
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スタンプラリーが終わった人から扇子に色付けしていきます。扇子は何に使うのでしょう。
扇子に描いてるのは、宝生五雲(ほうしょうごうん)と呼ばれる5つ雲が白地に広がっているものです。
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子ども達それぞれ個性がとてもでてました。写真には写ってないですが、中には前衛的な作品も!

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天気もよくてみんな外で乾かしながら見せ合いっこ。
みんなの笑顔に僕自身とても癒されました。 

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潟上集落で管理している昔の古地図を観賞。各集落で保存されているようです。
子ども達には難しかったかな?

大人に大人気でした。みなさんどこになにがあるか探すのに真剣。

 
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お昼は特選市場の地産地消弁当 里山里海を感じられる内容のお弁当 人参が梅型で可愛かったです。

午後のプログラムへ 後編に続きます。

佐渡めぐり塾とは…

佐渡市の委託事業で、佐渡生きもの語り研究所と地域おこし協力隊が共同企画する、世界農業遺産について親子で楽しく学ぶ体験プログラムです。

 

昔から伝わる民話があり、田んぼを守りながら貴重な藁を使う暮らしが今でも続けられている達者集落が、今回の舞台になりました。

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まずは、
「むかーしむかし、とんと昔にあったとさ…」

生まれも育ちも達者集落である85歳のおじいちゃんから、集落にまつわるお話を聞きました。

『安寿と厨子王』『山門洞クシキ』という2つの民話も聞きました。
お話に出てくる、「逢う坂」「お地蔵さんの清水」「山門洞」などは、今も集落に残っています。

 

それらをポイントに集落内を歩くスタンプラリーに出発!


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大事なポイントや民話が描かれている巻物マップに、子供たちはわくわく!
(スタッフの手作り!がんばった甲斐がありました!)


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ポイントでスタンプを押してもらい、アイテムをゲットしていきます。


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「もっと歩きたかった~」という声もありました。


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昼食。
はぜ架けしたお達者米と、お母ちゃんたちの手料理の数々。
サザエご飯、きのこ汁、煮しめ、ぜんまい炒め、…どれも美味しくてお腹いっぱい!
ごちそうさまでした!


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午後いちばんは、藁についてお勉強。

漢字からわかるように、「」は「くらい価値が」だったそうです。


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昔、日常的に使われていた藁で作られた様々な道具。

編む技術がすばらしいです!


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いよいよ、子供も大人も初めての藁草履作りの時間。

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苦戦しながら、手取り足取り教えてもらいながら、なんとか親子で両足分完成…したかな。
「不格好でも履ければ草履だよ~」とお母ちゃんは言います♪

教えるお母ちゃん達はイキイキとしていました。
若い人との交流がとても楽しくて、元気をもらったそうです。

 

藁を手に入れるには田んぼの稲作を維持していかなくてはなりません。

田んぼを守る事は、生活そのものや技術など暮らしを守る事にもつながります。

世界農業遺産、ジアスは奥が深いですね。

達者集落のみなさん、大変ありがとうございました。

 

次回:20183月新穂潟上集落にて(予定)


佐渡めぐり塾もとうとうシリーズ最終回となりました。3月の連休初日、いつものように雨雲と睨めっこしながら金井を出発、目指すは高千の池野牧場さんです。

池野牧場さんで車を降りると、牛舎から「ゥモーーーーー!」とひっきりなしに聞こえる牛たちの声。池野さんの声もかき消されるほどの大きな鳴き声に、子どもたちも少しビビり気味。

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大きな声の原因は、仔牛にお乳を飲ませたい母親たちが、モウ抗議していたのです。仔牛がお乳を飲まないと、母親もお乳が張って辛いのだそうです。

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「待たせてごめんね」と、参加者で成牛と仔牛の間にある柵を外してあげると、仔牛たちは一目散に母親の元へ駆け込んでいきました。抗議の声もひと段落したあとは、早速グループに分かれて牛舎内の掃除と、餌やりをしました。

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大きな塊のビニールを裂くと、中身は乳酸発酵させた草がロール状に。独特な発酵臭がします。牛は4つの胃袋を持っていて、1番大きな第1の胃袋が満たされるまで、長い舌を干し草に巻き付けながら、どんどんと平らげて行きます。(第1胃の容量は約100ℓだとか...)大動物の食欲を間近で感じた瞬間でした。

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代わって中学生と高校生には、牛舎内の掃除をしてもらいました。初めて間近で接する大きな牛たちに戸惑いながらも、池野牧場の従業員の方々に教えてもらい、足元の糞をかき集め、きれいになった場所には新しいもみ殻をまいて行きます。近くで接してみると、それぞれの性格が何となく見えてきます。神経質な牛、新参者の私たちにも動じない牛、人懐っこく近づくとザラリッと舐めて来る牛。

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干し草の他に、稲わらも一緒に食べさせます。干し草も、稲わらも、池野さんの農場で刈り取ったものです。牛たちの部屋にまいてあげたもみ殻も、池野さんの育てたお米のもみ殻。そして、掃除してかき集めた糞は、堆肥となって田畑の土を豊かにしてくれます。

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前回のめぐり塾in鷲崎では、ワカメや魚の残さを堆肥化し、米づくりをしている農家さんに登場してもらいましたが、今回は牛が身近にいるからこその、循環する農の仕組みも発見することができました。ほんの少し前までは、各家庭に1頭は牛がいて、当たり前だった農村の暮らしが、池野さんの元にはまだ残っていました。

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牛舎での体験後、お昼ご飯を挟んで、池野さんから6月頃から始まる林間放牧について、少しお話していただきました。昭和40年代には島内で3,000頭いた牛たち。高千では飼育している牛のほとんどが林間放牧されていました。しかし、徐々に軒数が減り、今ではドンデン山での放牧は、池野さんの牛数十頭だけに。牛たちが食むことで美しく保たれてきたドンデン高原の芝も、池野さんの牛たちだけでは間に合わず、荒れ始めているのだそうです。

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林間放牧の様子がイメージできたところで、午前中に作業をした牛舎とは別の、少し山へ入ったところにある牧場へと足を延ばしました。海岸段丘の田んぼを抜けると、運動場でのんびりする佐渡牛たちが。ここにいる牛たちは種付けを終え、春には山へと上がる予定です。山を知り尽くしたベテラン牛が、若い牛たちを連れて行ってくれるのだそうです。夏にドンデンに上がったら、彼女たちに会えるかもしれませんよ。

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めぐり塾in高千の最終目的地は、佐渡牛の競りが行われる「高千家畜市場」。JA佐渡の菊池さんに案内していただきました。年3回行われている牛市には、県外からも買い付けに関係者がやってきます。佐渡生れの仔牛たちが、いずれ名高いブランド牛になるわけです。次回の牛市は4月2日。ご興味ある方は、是非足を運んでみてはいかがでしょうか。(佐渡牛についてはこちら

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そして、めぐり塾恒例のこびりは、参加者の期待を裏切らない「佐渡牛」でした。色んな意味で貴重なお肉を、最後にみんなで味わいました。

「牛の世話をして、最後に肉を食べることで、より牛農家さんの仕事や命を頂くことが身近に感じられた」

参加された方の感想から、池野牧場さんでの体験に始まり、市場の見学、こびりまで、詰め込み過ぎたかな?と心配もありましたが、一日を通して様々なことを感じてくれたのだと、嬉しく思いました。

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全てが循環し、巡っていた仕組みだからこそ、その一つが欠けることで、うまく回らなくなってしまう。世界農業遺産(GIAHS)って、きっとその仕組みのなかにある、小さな片鱗ひとつひとつなのかもしれません。

その片鱗を拾い上げ、気付くきっかけ作りをこれからもしていきたいな。


最後に、今年度佐渡めぐり塾開催にあたり、ご支援ご協力をいただいた行政、現地の皆さま、そして楽しんで参加して下さった参加者の皆さまに感謝申し上げます。
4回に渡って素晴らしい写真を撮って下さっためぐり塾スタッフと、「一緒にやろう」と声をかけてくれた(一社)佐渡生きもの語り研究所さん、ありがとうございました!

 

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その瞳で見つめられたら、誰しも心の一部分が、じんわり溶けていくような感覚を持つのではないでしょうか。

でも、365日、牛たちとともに暮らす牛農家さんたちのこと、どれだけ私たちは知っているでしょう?
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今年度最後となる佐渡めぐり塾in高千編では、いけの農援隊の皆さんやJA佐渡さんにもご協力いただき、牛たちへの餌やり(どれだけ食べるか想像できるかな?!)、牛舎の掃除などを体験しながら、長い歴史を持つ佐渡牛(さどうし)と人との営みを、感じていただきます!

めぐり塾in高千ポスタ
定員まで残りわずかです。今回は、牛たちの側で作業をしますので、親子ペアでの参加大歓迎です。小さなお子様がいる場合は、参加をお断りさせて頂くこともありますので、ご了承ください。

☆☆☆第4回 佐渡めぐり塾 山と共に 里と共に 牛農家編☆☆☆
日 時         2016年3月19日(土) 8時~15時 ※8時集合
集 合・解散場所   佐渡市役所前駐車場(佐渡市千種232)
定 員         親子10組20名(要申込・先着順)
対 象    小学生、中学生とその親御さん
       ※小学3年生以上のお子さんは一人参加可としていますが、牛の側で
        作業するため、親子参加大歓迎です。
       ※小さいお子様連れの参加は、お断りさせて頂くことがあります。
        ご了承ください。
参加費      大人1,000円 小・中学生500円※昼食、こびり(おやつ)有り!
持ち物      長靴・合羽(上下あるもの)・滑り止め付き軍手・帽子・着替え・飲み物

※雨天決行
※汚れてもいい格好で来てね♪

申込〆切   3月14日(月)

申し込み&問い合わせ
(一社)佐渡生きもの語り研究所 電話&FAX:0259‐22‐2658
メール:ikimon●sado-ikimonoken.jp ※送る際は●を@に直して送って下さいね。 

これまでの佐渡めぐり塾を振り返ると、岩首の昇竜棚田を散策したり、竹林で筍取りをしたり、国仲平野から谷津田と呼ばれる田んぼを巡って鳥たちを観察したりと、どちらかと言うと佐渡の「里山」に触れる回が続きました。

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2月20日に開催した第3回では、里山と共に佐渡の魅力を語る上で外すことのできない要素、「海」と共にある暮らしに着目。山もあり、海もあり...そんな贅沢な土台があるからこそ、成り立ってきた人々の暮らしに触れ、その恩恵をたっぷり味わってもらおうと企画しました。

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いつもより少し早い8時集合、オリエンテーションも手短に、まず向かった先は島内唯一の佐渡魚市場です。獲れたての魚たちが船やトラックで運ばれ、ここで競りが行われています。その道のプロ、せり人として働かれている石川さんにお願いして、市場のことや水揚げされた魚の種類、競りのことなど丁寧にお話して頂きました。

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実際の競りの様子を見せてもらったり(何を言っているのか素人にはさっぱり...)、競り落とされた海産物の出荷作業や、停泊しているイカ釣り船なども見せてもらいました。佐渡沖で獲れた魚の7割は島外へ出荷されるのだそうです。大きく、最新の機器が積まれた立派な船(豪邸が建つ程のお値段だそうです!)に、「乗組員は?」と聞くと「この船は一人で乗ってるよ」と石川さん。漁業の現場でも担い手不足は深刻なようです。

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市場内では、行きかうフォークリフトに十分注意しながら、あちらこちらと案内をしてくれる石川さんにくっ付いて、色々質問する子どもたちや、親御さんの姿が印象的でした。

石川さんに別れを告げ、次に向かうは今回の舞台、鷲崎です。鷲崎までの道中、海岸線沿いの道をひたすら走っていると、海面に点々と「浮き」が浮いているのが分かります。これは定置網という漁の一種で、陸から見える部分はほんの一部、垣網といって潮の流れに乗って泳いできた魚たちを次の仕掛けまで誘導する網なのだそう。

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定置網の解説をして下さった新潟県水産庁舎の阿部さん。海のことも魚のことも全くど素人の主催者に代わって、参加者の方々からの質問に答えてくださったり、準備から何からとてもお世話になりました。

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鷲崎漁港に到着すると、さらに今回のゲストたちが参加者の皆さんを出迎えてくれました。海の米でも有名な本間太郎さんと木村さん、そして地域おこし協力隊海府担当の木野本さん。

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すでに沖の養殖場から上げてきてもらったワカメの付いたロープを、更にトラックへと引き上げて載せていきます。ロープにびっしりと付いた養殖ワカメ。想像以上に重たくてビックリしました。高校生がワカメを引き上げている間、プチ海の生き物探しを楽しんだ小学生たち。よーく見ると、引き上げたワカメには小さく動く物体が...。

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小さなカマキリのようなこの海の生き物はワレカラ(又はアリカラ)。藻場では稚魚たちの大事な餌になるのだそうです。ワレカラのような小さな生き物を育むワカメは、田んぼの稲と一緒ですね!(通じるなぁ!)ちなみに、太郎さんはワカメや魚の残さなどを使って、独自のたい肥を作り、田んぼや畑に還元しています。それこそ、海と田畑のつながる仕組み、ここだからできる特別な「技」だなぁと感じました。

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ワカメをトラックへ積んだら、太郎さんのお家の庭先へ移動して、ロープからワカメを切り落とす作業をお手伝いしました。 ロープにぶら下がったワカメの全貌とご対面。根があり、メカブがあり、茎があって、そして食卓でよく目にする葉の部分で1本のワカメなのだと分かります。透き通った茶色のワカメカーテンに、子どもたちの眼もきらきらしていました。味見してみるとしょっぱい海の味。太郎さんが、「こういう体験が子どもたちに必要なんだ。それが当たり前にできる機会を、大人たちが作ってやらなきゃいけないんだ」と語りかけてくださいました。

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めぐり塾のそもそものの原点。それは子どもたちに、佐渡の身近な自然に触れられる機会を作りたいと思ったことでした。太郎さんの言葉に、背中を押されたような、励まされたような、とても嬉しい言葉でした。

さぁ、めぐり塾in鷲崎編は内容盛りだくさん!続いては、場所を鷲崎ふれあいセンターに移し、合羽に長靴姿から、三角巾とエプロン姿に変身です。

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鷲崎で年間通じて漁をされている漁師一家の森川さん。この時期もタラ漁で忙しいなか、料理名人の奥様に講師になって頂き、鷲崎で獲れた小ぶりのアジを、みんなでさばきました。子供用の包丁を握りしめ、子どもたちも、真剣な顔つきで魚と向き合いました。

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小ぶりのアジだったので、皮も手で剥きました。気持ちよく剥けると癖になりそうな感覚...。三枚にうまくさばけなくても、たたいて味噌とネギを加えれば、美味しい美味しいなめろうに!

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アジ以外にも、ワカメを茹でて一瞬で鮮やかな緑色に変わる瞬間を見せてもらったり、イカのさばき方を教えてもらったり、そしてデモンストレーションの目玉は森川さんのところで獲ったタラのさばき!みんな食い入るようにその無駄のない動きに見入ってしまいました。さばいたタラは、美味しい美味しいタラ汁に。(ネギと大根は太郎さん作!)

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最後は、待ちに待ったお昼ご飯。自分たちでさばいたアジのお刺身やなめろう、鷲崎の恵みが凝縮したタラ汁に、森川さん作のタラの刺身に茎ワカメを使った一品、そして白いご飯。

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今日一日で見て、感じて、触れてきた海の恵みがすべて詰まったお昼ご飯でした。森川さんの口から次々と美味しそうな魚料理のレシピが出てくるので、参加者のお母さんも興味津々でした。折角佐渡にいるんだもの、もっと魚を食卓で食べたい!と無精な私もやる気が出てきました。

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お土産には、たくさんのワカメと宿題用のアジ。イベント中一度も包丁を触らなかったお父さんが、家でアジをさばいた(結果なめろうになった)という嬉しい後日談や、余りに大漁のワカメに、お家で待っていたお母さんから嬉しい悲鳴?が届いたりもしました。

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普段私たちの目には、その一部分しか見えていないことが多いのかもしれません。魚だって、スーパーに行くと切り身になった状態で売られていて、かつて大海原で泳いでいた姿を想像することは、なかなか難しいものです。

めぐり塾in鷲崎編で出会った、魚たちやそれに携わる人々との触れ合いが、参加して下さった方一人一人にとって、少しでも海とのつながりを身近に感じてもらうきっかけになればと思います。

今回も、たくさんの方々にご協力を頂き、佐渡めぐり塾in鷲崎編を開催することができました。素晴らしい方々と縁を繋いで頂けたこと感謝しています!次回は、3月19日。今年度最後のめぐり塾も、どうぞご期待ください♪


 

佐渡めぐり塾も、お陰さまで第3回目を迎えます。里山や棚田、トキと田んぼなど農業に主にフォーカスしてきた第1回、第2回。今度はガラッと舞台が変わり、海のある暮らしを覗きに出かけます!

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普段子どもたちが眼にしているお魚たちは、スーパーで売られた切り身ではないですか?一本の木のようなワカメ見たことある?海の資源に富んだ島ならではの、恵みをたっぷり味わえる回になっています。お昼は自分たちでさばいた魚を実食!

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応募締め切りは2月15日(月)。今回は会場の都合上、募集人数も限られています。皆様お早めにお申し込みくださいね。ご応募お待ちしています♪

☆☆☆第3回 佐渡めぐり塾 農と漁 共にある暮らし編☆☆☆
日時         2016年2月20日(土) 8時~15時 ※8時集合
集合・解散場所   佐渡市トキ交流会館(新穂潟上1101-1)
定員         親子6組12名(要申込・先着順)
       ※小学3年生以上はお子様のみの参加もOK!
参加費      大人1,000円 小・中学生500円※昼食、お土産付!
持ち物      雨具・長靴・帽子・飲み物・着替え・エプロン・三角巾

※寒さ対策を万全に!
※雨天決行
※汚れてもいい格好で来てね♪

申込〆切   2月15日(月)

申し込み&問い合わせ
(一社)佐渡生きもの語り研究所 電話&FAX:0259‐22‐2658
メール:ikimon●sado-ikimonoken.jp ※送る際は●を@に直して送って下さいね。

先日、佐渡めぐり塾新穂編をアップさせて頂きました。(記事はこちら)

その際、記事に書き切れなかったお昼ごはんの様子。実はこの時間も、とても貴重なひと時だったんです。

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お昼を頂いたのは、以前民宿をされていた正明寺にある「国見荘」さん。この大広間からは、田んぼや朱鷺のためのビオトープ、そして林といった「朱鷺の里山」 の風景を堪能することができます。普段、一般には開放されていませんが、今回はご厚意で使わせて頂きました。ため池には沢山の鳥たち…思わず双眼鏡でウォッチング。

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正明寺集落の有名人本間さんから、朱鷺のお話を聞いた後は、待ちに待ったお昼ごはん!今回のメニューは朱鷺と暮らす郷米粉カレー!ご飯はもちろん、朱鷺と暮らす郷認証米です。高校生の大盛りっぷりに、ご飯が足りるかヒヤヒヤでした。

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この米粉カレー、島内の若手農業者が集う4Hクラブという会のメンバーで作りました。「島内でお米を食べる機会を増やしたい!」。そんな目標を掲げた今年は、まず取っ掛かりとして、親しみやすく作りやすい米粉カレーのレシピ研究から始めました。固形ルーを作ってみたり、隠し味を色々試してみたり…。そうして出来上がったレシピを、このめぐり塾で初披露したわけですが、お代わり続出の大盛況で、ホッと大きく胸を撫で下ろしました。

それもそのはず、実は11月23日に開催される地産地消フェスタで、この米粉カレーの販売をすることになっているのです!大人数の調理に慣れていないメンバーで、四苦八苦しながらも「美味しい!」と言ってもらえるものができたので、本番への自信につながりました。(フェスタの詳細は記事の最後にて。)

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お腹いっぱい食べた後は、引き続き本間さんから、正明寺集落と縁のある山下清のお話などを聴かせて頂き、ではそろそろトキ交流会館へ移動…というところで、待ってました!朱鷺が姿を現してくれました。

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「電話しといたのが、やっと通じたな~」なんて、冗談交じりの本間さん。子どもたちに朱鷺の姿を見せたいと最後まで粘ってくれたおかげでした。

国見荘でのお昼時間、お腹も大満足、朱鷺とも出会えて、さらに大大大満足な内容でした。佐渡めぐり塾では、毎回違う地域を訪れるので、せっかくの機会、その土地のもの、季節ものを味わってもらえたら…と毎回お昼ごはんやこびりには気合が入っています。次回もお楽しみに♪

☆佐渡市地産池消フェスタで4Hクラブ米粉カレー出店します☆

米粉カレー
100人分のカレーなんて生まれて初めて作るメンバーです…。当日はご迷惑かけることもあるかもしれませんが、どうぞ皆さん食べに来てください!(限定100食)メンバーが作っている野菜や、ポン菓子も販売しますよ♪

日 時  2015年11月23日(月・祝) 10時~14時
場 所  サンテラ佐渡スーパーアリーナ ※今までの会場から変わりました!
※詳しくはhttp://www.resource.sado.jp/chisan-chisho/festa/2015/02.htmlをご覧ください。
 

岩首にて棚田と竹林に触れた第1回(様子はこちら)に続いて、11月8日、小雨が降りしきるなか、佐渡めぐり塾第2回を開講しました!
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今回の舞台は、新穂。「トキと田んぼに迫ろう」というテーマのもと、今までとは違ったかたちで、子どもたちに田んぼとそこに暮らす生きものたちについて、そしてトキとの上手な付き合い方について学んでもらおうとプログラムを練りに練りました。参加者一人一人に配られた双眼鏡と調査票。いざ、1日ジュニアレンジャー体験の始まりです!

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双眼鏡の使い方(これ、重要です!)のレクチャーを受け、早速車に乗り込み向かうは国仲平野。その道中、幸運にもトキたちが田んぼでエサをついばむ様子を見ることができました。車のエンジンを止めて車内からの観察がルール!

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「トキがどんな風にエサをとっているか良く見てほしい。餌を捕まえたときの動作もじっくり観察していると分かるよ。」と本間獣医さん。普段トキと触れ合っている獣医さんの話は、血が通った、生き物であるトキを感じることができます。

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今回ジュニアレンジャーたちをサポートしてくれたのは、環境省の遠矢レンジャーとトキの森公園の本間獣医さん。車内は恰好の質問タイムで、レンジャーさんや獣医さんから、佐渡で観られる渡り鳥の話や、トキのことを直接聞くことができるいい機会になりました。

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「上手なトキとの接し方、付き合い方を佐渡の人たちに、子どもたちに知ってもらうことは大切なこと」。今回めぐり塾の趣旨をお話したとき、できることはなんでも協力しますよ!と心強い言葉をくれた遠矢レンジャー。生き生きとしたレンジャーの姿を、特に高校生に見てほしいなと思っていたので、4名の高校生の参加は願ったり叶ったりでした。

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国仲平野を一望すると、大きな田んぼがきれいに格子状に並んでいるのが分かります。国仲平野でのラインセンサス(定められたコースに沿って、鳴き声や目で見て野生動物の数や種類を調査する方法)では、サギたちやトビ、渡ってきたミヤマガラスなどを確認できました。カラスにも、この時期しかいないやつもいるんだ!

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お!トキがいる…と見せかけて、ラインセンサスの次はトキのモニタリング体験。田んぼに仕込んだトキのデコイに装着した本物のカラーリングとナンバリングを、望遠鏡で読み取ります。子どもたちも、佐渡総合高校生たちも望遠鏡の使い方に四苦八苦しながら、個体識別表を頼りに、個体の同定に挑戦。今回仕込んだ「03」という個体は、第一回放鳥組でいろんなところに旅に出ているのだそう。トキの個性を知ると、それだけで愛着が沸いてきます。

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国仲平野を後にして、続いて向かった先は天王川に沿って作られた谷戸です。だだっ広い平野の景色から一変、林に囲まれた田んぼは、トキにとって住みやすい環境のひとつ。止まり木となる木が近くにあり、そのすぐそばにエサ場となる田んぼがあります。さらに山へと上り、平野と林が入り混じる、新穂の景色を眺めました。これだけ多様な環境が島のあちこちに散らばっています。めぐり塾を通して、その土地土地を訪れながら、その違いを感覚的でもいいので、実際に見て感じてもらえたらと思っています。

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林のほうからはサドカケスの鳴き声が。私も童心に帰って、野鳥探しに夢中に…。

お昼を食べた後は、トキ交流会館に場所を移し、トキが生きていくのに欠かせない田んぼの生きものを調査しました。と言っても、いつもの生き物調査ではなく、トキになりきってのエサ取りです!
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トキのくちばしに見立て、ピンセットで生きものを探したり、くちばしの感覚でエサをとるトキに代わって、手の感触を頼りにエサとなる生き物を捕まえたり…。謎のボックスにビビる高校生をしり目に、次から次へと生き物をゲットする子どもたち、と本間獣医さん。

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捕まえた生き物たちの種類や重さを量り、カロリー計算も行いました。お腹いっぱい食べるには、こんなにも大変なのか…誰もが体験して感じてくれたようです。普段から生きもの調査をやっている佐渡kids生きもの調査隊の子も、いつもと違った視点での生きものとの触れ合いを楽しんでもらえました。

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最後には、今日一日で学んだこと、感じたことを、人へ伝えるため一枚のポスターを仕上げてもらいました。レンジャーとして、自分の知識や活動をほかの人たちへ伝えることも重要なお仕事です。

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親子で楽しく体験、体感してもらい、そこから学び感じ取ってもらう。めぐり塾の目指すかたちが、今回はだいぶクリアになったかと思います。惜しくも、親子参加が少なくこじんまりした会にはなりましたが、総合高校生と小学生がじゃれ合ったり、初めは遠目に構えていた高校生たちも、遠矢レンジャーや本間獣医さんの気さくな態度に、午後には笑顔を見せてくれたり…参加者同士の触れ合いが何より嬉しいです。

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高校生が最後に描いてくれたポスターの一枚。

トキのため エサ場を増やそう 全国で!!

佐渡から、トキとの付き合い方を広められる若者たちが、今後はどんどん増えていくように!そして佐渡の恵みを実感できる機会を作れるように!めぐり塾、第3回は来年1月末の予定です!
※次回以降の開催のお知らせや主催者の(一社)佐渡生きもの語り研究所さんの情報はこちら)

今回ご参加頂いた皆さま、そしてご協力頂いた関係者の皆さま、本当にありがとうございました! 

 

先週末、佐渡は大荒れのお天気でした。Sea to Summitも開催を見合わせるなか、決行された第1回佐渡めぐり塾。

参加者は総勢27名。親子での参加が6組、大人だけでも参加したい!と申し込んで下さった方々や、総合高校の生徒さんたちの参加もあり、当初の予定より大所帯、年齢層も幅広い参加者が集まりました。

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雨の降りしきる中、マイクロバスで向かった先は今回の学びの場、岩首。
ここで、岩首談議所の大石惣一郎さん、ガイドの本間さん、地域おこし協力隊の聡子ちゃんと合流し、いざ岩首昇竜棚田の恵みを探りに出発です!

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まず最初に訪れたのは、外観も美しい水量豊富な養老の滝。山間に作られた棚田の命綱となる水資源を、肌で感じることができる場所です。

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続いては、マイクロバスで岩首昇竜棚田を目指してゆっくりと上って行きます。岩首昇竜棚田は、海岸沿いの道からは、全くその姿を見ることができません。標高350mまで上ると、ようやく視界が開け、棚田とその向こうに海が広がります。(お天気ならな~!と悔しい気持ちも...)棚田は、佐渡金山隆盛期に急増した人口に対応するため、開墾されできたと言われています。又、「年貢の取り立てから逃れるため、簡単には見つからないところに田んぼを作った」とのお話も。

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佐渡の棚田が、佐渡金山をはじめ歴史と大きな関わりを持っていること、子供たちにも少し伝わったかなぁ。棚田を上りながら、平場の田んぼでは考えられない畦畔の高さに驚く一行。ここを80代のじいちゃんばあちゃんが手入れをしているという現実。「若いもんが何とかせんなん」そんな頼もしい高校生の言葉も聞かれました。

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棚田の上にある展望小屋「そらまめ」まで来て、一休み。小さい子供たちはわらびを取ったり、高校生は大石さんの講義に聞き入ったり...。皆思い思いのやり方で、この場を楽しみながら興味のあるものを吸収してくれたようです。

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お待ちかねのこびりは佐渡産さくらんぼの食べ比べ。子供たちには甘みの強い紅秀峰が一番人気でした。道の途中途中でも、キイチゴを摘んで食べたり、山の恵みを味わいながら次なる目的地、竹林へと移動します。

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古い竹が倒れ重なり合い、光の入らなくなった竹林ではタケノコも出てきませんが、光の行き届いた整備された竹林では、まだまだ真竹のタケノコがぐんぐん伸びていました。お土産のタケノコを、皆自分たちでユサユサ、ボキッと収穫。大人もはまるタケノコ狩り?で盛り上がり、山の恵みをお持ち帰り。

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竹林の脇にあるため池での生き物調査では、ヤゴやクロサンショウウオがたくさん見つかりました。池の上に垂れ下がった枝にはモリアオガエルの卵。孵化したばかりのモリアオガエルのオタマジャクシを捕まえた人もいて、田んぼとは違った生態系に触れることができました。

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盛りだくさんの午前中が終わり、お昼ご飯は談議所で車座になってお弁当を食べました。お弁当は、多田の仕出し屋「ろくすけ」さんが、この日のためにメニューを考えて下さった「特製里山・海物語弁当」!多田産のわかめを使ったものや、岩首の養殖サケの塩焼きなど、地のものにこだわってくれたお弁当です。魚嫌いという子もペロリ。お米はもちろん岩首昇竜棚田米!棚田米を初めて食べたという方も多くいらっしゃいました。

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天候の関係で、午後は談議所で過ごすことになりました。急な話でありながら、大石さんと聡子ちゃんから岩首やその周辺集落の鬼太鼓のお話や映像を見せてもらいました。GIAHSの認定に佐渡の芸能・文化を外すことはできません。島のなかで多種多様なカタチで残る鬼太鼓や祭りの様子も、このめぐり塾で共通のテーマとして取り上げていけたらいいなと思います。

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岩首談議所の心強いメンバーのおかげで、天候に振り回されながらも第1回目を開催することができました。不慣れな主催者で、反省点も多々ありましたが、何より参加してくれた子供たちが楽しそうにしてくれていたことが今後の励みになりました。

何より嬉しかったのは、参加した親御さんから、家に帰った後、お子さんたちが今日のことを絵日記に書いたり、自主学習のテーマに取り上げていたとのお話を聞けたこと。次回以降も、子供たちに楽しい体験と、心に残る何かを提供できる「めぐり塾」でありたいと思います。

次回は10月はじめを予定しています。次はどんなGIAHS的な要素と出会ってもらおうか。楽しみにしていて下さいね。

佐渡に来て、初めて耳にしたGIAHS(ジアス)、世界農業遺産。
この島が培ってきた農村文化や芸能、そしてトキが舞い降りる生きもの豊かな田んぼを作るため、農家さんが日々行っている努力。

佐渡での生活は、常に「GIAHSな要素」との出会いです。

身近にありすぎて、当たり前になってしまいがちなこの豊かさに、改めて目を向けてほしい。佐渡で生まれ成長していく子供たちに、この土地の魅力を伝えたい!

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そんな思いがきっかけで、(一社)佐渡生きもの語り研究所さんと親子向けイベントを企画しました!たくさんの方々の力を借りて、思いが形になったこの「めぐり塾」。

第1回目は、岩首の昇竜棚田と竹林を訪れます。子供たちに見せたくても、易々とはいかないわ...という親御さんたちも、現地へはマイクロバスでの移動ですし、週末の遠足気分で参加できます。美味しい棚田米のお弁当付き!

GIAHSという言葉に執着せず、佐渡にある恵みに楽しく出会ってもらえたらと思います。ご参加お待ちしていま~す♪(事前申し込みをお願いします!)

◎親子で楽しむ♪佐渡めぐり塾◎
 第1回 岩首昇竜棚田と竹林の恵みに出会おう!
開催日 2015年6月28日(日) 9時~16時頃※9時集合
集合・解散場所   佐渡市役所本庁舎駐車場
                          ※現地へはマイクロバスで移動
定  員  親子10組20名(先着順・要申し込み)
対  象  島内の小・中学生とその親御さん
参加費 大人2,000円   小・中学生1,000円
            ※地元の美味しい昼食&お土産つき!
締切り  2015年6月19日(金)
持ち物  飲み物・帽子・長靴・雨具
※雨天決行!汚れてもいい恰好で参加してくださいね♪ 
※申し込みの際は、参加者氏名、お子様の年齢、連絡先をお伝えください。
申し込み&問い合わせ
(一社)佐渡生きもの語り研究所  Mali:ikimon@sado-ikimonoken.jp
                                    Tel&Fax: 22-2658
 

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