佐渡の中でも、竹細工の盛んな地区のひとつが小木でした。
昭和23年に「佐渡買い物籠」なるものが全国的にヒットし、
最盛期には、小木町のみで700人ほどの人々が籠づくりに従事していたそうです。
その時の町の人口が6,000人弱だったため、竹細工は立派な地方産業だったと言えます。

昭和31年には、竹細工の専業が30戸、従事者が300人小木にいたそうですが、
それから現在までのわずか60年の間に、片手で数えるほどに減りました。
今でも竹細工を生業とする職人の一人が、花篭を主に手掛ける数馬昭男さんです。
参考:「良質な竹の産地であった佐渡の伝統工芸品」(過去の協力隊ブログ)
数馬さんの作品は、佐渡市ふるさと納税の返礼品にもなっています!
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生活用品が竹製品で占められていたということがわかる場所が、宿根木にあります。
民俗資料を中心に、約3万点の品々が展示・収蔵されている、
佐渡国小木民俗博物館」です。
ここは大正9年築の旧宿根木小学校の建物を利用して設立されました。

竹でできた生活用品や道具の一部をご紹介。
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あそび道具               行李(衣類の保管や運搬に使用)
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台所道具(麺類を湯から上げ、水切りに使用)
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とのくち(米を入れる際のジョウゴ)      豆腐みざら
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コオナゴカゴ(漁業道具)           トリカゴ
 

そのバリエーションの多さに驚きます。

しかし、今の暮らしの中でいったいどれほどの竹製品を見かけるでしょうか?
我が家にある竹製品、ぱっと思い浮かぶものだと、
花篭・鬼おろし(大根おろし)、箸、お猪口…くらいでしょうか。

昔は竹がお金になったため、竹林は田んぼと同じくらいの価値があったと聞きました。
しかし、今や竹(林)はやっかいものという認識の方が多数ではないかと思います。
宿根木の竹林も手入れをされなくなり、荒れ放題。
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そこで、宿根木住民で「宿根木の森保全の会」を立ち上げ、
国の森林・山村多面的機能発揮対策交付金事業に申請。
昨年秋から竹林整備を中心とする環境保全に取り掛かりました。

第1回目の竹林整備には、組織メンバーはじめ周辺住民も加わって20名、
さらに、昨年から宿根木の集落活性化に向けて調査研究中である
江戸川大学社会学部の清野ゼミの先生と学生の6名が加勢してくれ、
総勢26名で作業に取り掛かりました。
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作業を始める前に、森林組合の安全講習を受け、いざ竹林内へ。
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都会で暮らす学生たちには、慣れない作業だったと思いますが、
力を合わせて頑張ってくれました。
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こうした竹林整備を今年の1月まで数回実施し、目標面積であった
約5.8反(5,812㎡)の枯れ竹伐倒を行うことができました。
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そして今年度最後の活動では、竹林沿いの歩道に竹垣を設置。
一定の間隔で単管パイプを打ち込み、横に長い竹を固定して、
さらに縦に挿し込んでいきます。
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最後は竹垣の前で集合写真。今までで一番の笑顔でした☺
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ビフォーアフターはこんな感じ。
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荒れ放題となっている竹林ですが、竹が果たす環境保全について調べてみると、
例えば、その根茎によって傾斜地の崩壊を防ぐという土壌との関わり、
自生地では、地下水や清らかな水が存在するという水との関わり、
そして防風という風との関わりなど、さまざまな面がありました。
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次年度も引き続き、活動予定です。
竹林・山林から出る副産物の活用も視野に入れて、
“まちなみ”だけではなく、宿根木‘全体’の景観を良くしていきたい。
そのためにも、自然を利用し尽くすと言えるくらい、
暮らしに取り入れ、活用していきたいと思います。

一例として、我が家のお風呂。
毎日枯れ竹を燃やして沸かしています。
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       参考:「【前浜地区】かぐや姫を探して」(過去の協力隊ブログ)