佐渡市地域おこし協力隊サイト

佐渡市地域おこし協力隊全メンバーによる活動報告のサイトです

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33年に1度


外海府の矢柄(やがら)という集落には、とても小さな薬師堂があります。
観光名所になっているわけでもなく、ガイドブックにも載っていないような、
小さな、小さな薬師堂です。

あえて、この薬師堂の記事を書きたいと思う出来事がありました。

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矢柄の薬師堂では、毎年旧暦の3月8日に、護摩焚き法要を行っており、昨日がちょうど、それにあたる日でした。


2年前、私が着任したばかりの頃にも、その体験の一部始終をこのブログで書かせていただいたことがありました。
こちら↓
http://sado-chiiki-okoshi.blog.jp/archives/1025736118.html

今回お伝えしたいのは、この薬師堂で行われている「33年に1度の御開帳」のことです。

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<矢柄の薬師堂>


相川地区で「33年に1度」を行っているのは、金泉は姫津集落の薬師堂と、ここ外海府の矢柄集落のみだそうで、矢柄集落の御開帳は、再来年に迫っています。

金泉・姫津集落の薬師如来御開帳のブログはこちら↓
http://sado-chiiki-okoshi.blog.jp/archives/1056018617.html


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<矢柄の薬師堂/金色の幕の向こうにお薬師さんが・・・>


今回なぜ、再来年という少し先の告知を書いたかというと、
単純に、私の任期終了までに間に合わないからです。

来年の今頃には協力隊ではなくなり、告知記事をここに書けるのが、今年で最後というわけです。

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<お祝いに欠かせない団子>


姫津集落での御開帳の記事を見ていただくと分かる通り、
33年に1度となれば、それはそれは盛大なお祝いとなるわけです。

矢柄集落でも、お坊さん数名にきていただき、盛大にお祝いをする・・・・・
そうなのですが、矢柄集落は、15軒ほどの小さな集落、いわゆる限界集落です。

外海府には「限界」とよばれる集落が多いのですが、私自身、その言葉で集落を表現することに抵抗を感じていたこともあり、あまり使わないようにしていました。

しかし、矢柄集落が33年に1度のお祝いをするにあたり、集落外からの応援も必要だなと感じることがありました。

それは、単刀直入にいうと、お金です。

何事においても、気持ちだけではどうにもならない事ってあると思うんです。
等身大の表現も大切ですが、ここぞ、という時もあるように思うのです。

矢柄集落での33年に1度のお祝いを、一人でも多くの人に見てもらいたいという気持ちと、
外海府のくらしの美しさのようなものを、垣間見る機会になればという想いがあります。


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<美しい矢柄の浜>


矢柄の薬師堂で行われる「33年に1度の御開帳」は、再来年、旧暦の3月8日です。

もう一度。


再来年 旧暦 3月 8日 で す。


是非、是非、その日は気持ちばかりの御祝いを握りしめて、矢柄集落へお越しください。

その日よりも前に、御祝いを握りしめて、矢柄の総代さん宛にお渡し頂いても構いません。

こういう類の記事って、書いてよいのだろうか・・・・という迷いもありました・・・が、
えいや!と投稿。

想いだけでも伝われば、幸いです。


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<矢柄の「三島」>

33年に1度、お薬師様を拝見できる日。

1日目、416日の様子は前編でご報告しました。

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日目。
417日、暴風警報発令。
佐渡汽船フェリーが欠航するほどの悪天候でした。

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「稚児行列」
稚児は、隣の万福寺から渡り廊下を歩き薬師堂内へ。
役員はまわりで見守っています。

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粛々と法要が進められていき、お薬師様の扉が閉められました。

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お昼前には雨が上がり、大時化でしたが雲のない青空になりました。


その3日後。
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20日快晴、延期された流灌頂の海上法要が執り行われました。
地域の大人だけでなく、地元の金泉小学校や姫津保育園の子供たちもたくさん集まりました。

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海に流す大塔婆(おおとうば)は、中央の塔婆は長さ2.8、左右の塔婆は長さ1.8もあります。裏表に梵字などの文字が書かれています。集まったみなさんで大塔婆に結ばれた縄を持って、薬師堂から港まで歩きます。稚児行列よりも多い人数だったと思います。

御開帳法要の締めくくり、漁業において重要な海への法要。大事な大塔婆を運ぶ地域のみなさんは、とても良い笑顔をしていました。このことに胸が熱くなりました。

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イカダのように帆を立てるような棒を立て、そこに竹と一升瓶「金鶴」がくくりつけられました。「やっぱり金鶴だな~」姫津のおじさまは金鶴がお好きのようです。それを海に下ろして出港します!3隻が連なって走ります。

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沖で、僧侶によりお経が読まれ、大塔婆の縄が離されました。お札やお花、お神酒もいっしょに流しました。その後、帰港しました。


3日に渡り、33年ぶりの法要をすべて終えました。

実行委員長(集落総代)の西埜修一さんは、「自分がこの年に総代になれたこと、今ここにいること、すべてに縁を感じる。33年前の記憶がほとんどない状態で、様々な人に助けていただいて、みなさんの協力があったからこそできた。終えることができて、本当によかった。」と、最後に役員のみなさんに向けて話しておられました。


私自身、この年に自分が協力隊としてこの地域を担当していること、行事を通して姫津のたくさんの方と関わることができたことを、とてもうれしく思っています。一生に一度の貴重な経験をさせていただきました。どうもありがとうございました。


次回の御開帳は、
2049年です。
お薬師様、姫津集落を永く永く見守っていてください。

33年に1度、お薬師様を拝見できる日。

姫津の歴史はお薬師様なしでは語れないと言えるほど、集落が大切にしている仏様です。先週末416日と17日、先祖や水難事故などで命を落とした人の冥福を祈り、日々の漁で取った魚を供養するための法要が行われました。

すべてではありませんが、写真とともに振り返ります。

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16日、とっても気持ちの良いお天気でした。
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お薬師様の体に巻かれた紐のようなものが5色のリボンにつながり、お堂前の供養塔に結ばれています。この塔やリボンを触ることで、お薬師様を触れたと同じご利益があるそうです。全身にご利益があるように塔に抱きつく人もいました。

15㎝程の黒い像で、目を凝らしましたが表情や着物までは見えませんでした。左手に薬の壺を持っており、身体が苦しい時や心が苦しい時に助けてくれるそうです。

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「百味供」
普段私たちを見守ってくださるお薬師様への感謝の意味を込めて、山海の珍味に模した野菜や乾物などを百味と見立ててお供えします。水引を結んだり、季節のお花をそえたり、どれもかわいらしく、あたたかい印象をもちました。

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「稚児行列」
1歳~12歳の子供たちがお化粧して衣装を着て、親御さんと共に歩きました。きらびやかな袈裟を着た僧侶に赤い傘を差しているのは青年会です。役員は羽織り袴姿で、観客側も身が引き締まりました。

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「大般若法要」
大般若経600巻全ての経本典をバラバラと広げ略して読みます。その間、身体の悪い部分を経本で叩いてもらうと良い効果があると言われ、参拝者は僧侶のそばへ座り、肩や腰などを叩いてもらっていました。
(私は頭を叩いてもらいました。頭の回転が良くなりますように…。)

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「奉納太鼓」
はじめに青年会長から力強い言葉が述べられ、その後、青年会OBによる「波濤(はとう)」、子供たちと青年会による「出船(でふね)」、青年会による「薬師」の3曲を打ちました。大漁旗で作った半纏を羽織り、過去、現代、未来につなぐ願いが込められています。外で響く太鼓の音はどうだったでしょうか。普段にぎやかな子供たちもさすがに緊張していましたが、いい音が出ていたと思います。

青年会からの提案で、集落の女性が太鼓を叩くきっかけになればと、太鼓のシメに私を指名してくださいました。おそらく、見ていた方は「あの子はどこのもんや」と口々にしていたと思います。がんばれ~!」と掛け声をくださった方もいました。緊張しながらも力いっぱい打ちました。このような特別な舞台に立たせてくださったことにとても感謝しています。


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「婦人会による読経と、僧侶からのご講話」

婦人会の皆さんは月に2回集まってお参りをしています。音程が難しいお経を声を合わせ読まれていました。その後、僧侶によるご講話では、薬師如来にまつわるお話などをわかりやすく聞かせてくださいました。

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来場者数は数えていませんが、とてもたくさんの方が薬師堂へ来てくださいました。

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翌日2日目は屋外で行われる法要が予定されていましたが、大荒れになるという予報が出ていました。姫津にとって大事な法要です。実行委員長の苦渋の決断で、稚児行列は外を歩かず薬師堂の中で行い、流灌頂の海上法要は延期することになりました。


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日目と海上法要の様子は、後編にてご報告します。

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