佐渡めぐり塾もとうとうシリーズ最終回となりました。3月の連休初日、いつものように雨雲と睨めっこしながら金井を出発、目指すは高千の池野牧場さんです。
池野牧場さんで車を降りると、牛舎から「ゥモーーーーー!」とひっきりなしに聞こえる牛たちの声。池野さんの声もかき消されるほどの大きな鳴き声に、子どもたちも少しビビり気味。

大きな声の原因は、仔牛にお乳を飲ませたい母親たちが、モウ抗議していたのです。仔牛がお乳を飲まないと、母親もお乳が張って辛いのだそうです。

「待たせてごめんね」と、参加者で成牛と仔牛の間にある柵を外してあげると、仔牛たちは一目散に母親の元へ駆け込んでいきました。抗議の声もひと段落したあとは、早速グループに分かれて牛舎内の掃除と、餌やりをしました。

大きな塊のビニールを裂くと、中身は乳酸発酵させた草がロール状に。独特な発酵臭がします。牛は4つの胃袋を持っていて、1番大きな第1の胃袋が満たされるまで、長い舌を干し草に巻き付けながら、どんどんと平らげて行きます。(第1胃の容量は約100ℓだとか...)大動物の食欲を間近で感じた瞬間でした。

代わって中学生と高校生には、牛舎内の掃除をしてもらいました。初めて間近で接する大きな牛たちに戸惑いながらも、池野牧場の従業員の方々に教えてもらい、足元の糞をかき集め、きれいになった場所には新しいもみ殻をまいて行きます。近くで接してみると、それぞれの性格が何となく見えてきます。神経質な牛、新参者の私たちにも動じない牛、人懐っこく近づくとザラリッと舐めて来る牛。

干し草の他に、稲わらも一緒に食べさせます。干し草も、稲わらも、池野さんの農場で刈り取ったものです。牛たちの部屋にまいてあげたもみ殻も、池野さんの育てたお米のもみ殻。そして、掃除してかき集めた糞は、堆肥となって田畑の土を豊かにしてくれます。

前回のめぐり塾in鷲崎では、ワカメや魚の残さを堆肥化し、米づくりをしている農家さんに登場してもらいましたが、今回は牛が身近にいるからこその、循環する農の仕組みも発見することができました。ほんの少し前までは、各家庭に1頭は牛がいて、当たり前だった農村の暮らしが、池野さんの元にはまだ残っていました。

牛舎での体験後、お昼ご飯を挟んで、池野さんから6月頃から始まる林間放牧について、少しお話していただきました。昭和40年代には島内で3,000頭いた牛たち。高千では飼育している牛のほとんどが林間放牧されていました。しかし、徐々に軒数が減り、今ではドンデン山での放牧は、池野さんの牛数十頭だけに。牛たちが食むことで美しく保たれてきたドンデン高原の芝も、池野さんの牛たちだけでは間に合わず、荒れ始めているのだそうです。

林間放牧の様子がイメージできたところで、午前中に作業をした牛舎とは別の、少し山へ入ったところにある牧場へと足を延ばしました。海岸段丘の田んぼを抜けると、運動場でのんびりする佐渡牛たちが。ここにいる牛たちは種付けを終え、春には山へと上がる予定です。山を知り尽くしたベテラン牛が、若い牛たちを連れて行ってくれるのだそうです。夏にドンデンに上がったら、彼女たちに会えるかもしれませんよ。

めぐり塾in高千の最終目的地は、佐渡牛の競りが行われる「高千家畜市場」。JA佐渡の菊池さんに案内していただきました。年3回行われている牛市には、県外からも買い付けに関係者がやってきます。佐渡生れの仔牛たちが、いずれ名高いブランド牛になるわけです。次回の牛市は4月2日。ご興味ある方は、是非足を運んでみてはいかがでしょうか。(佐渡牛についてはこちら)

そして、めぐり塾恒例のこびりは、参加者の期待を裏切らない「佐渡牛」でした。色んな意味で貴重なお肉を、最後にみんなで味わいました。
「牛の世話をして、最後に肉を食べることで、より牛農家さんの仕事や命を頂くことが身近に感じられた」
参加された方の感想から、池野牧場さんでの体験に始まり、市場の見学、こびりまで、詰め込み過ぎたかな?と心配もありましたが、一日を通して様々なことを感じてくれたのだと、嬉しく思いました。

全てが循環し、巡っていた仕組みだからこそ、その一つが欠けることで、うまく回らなくなってしまう。世界農業遺産(GIAHS)って、きっとその仕組みのなかにある、小さな片鱗ひとつひとつなのかもしれません。
その片鱗を拾い上げ、気付くきっかけ作りをこれからもしていきたいな。
最後に、今年度佐渡めぐり塾開催にあたり、ご支援ご協力をいただいた行政、現地の皆さま、そして楽しんで参加して下さった参加者の皆さまに感謝申し上げます。
4回に渡って素晴らしい写真を撮って下さっためぐり塾スタッフと、「一緒にやろう」と声をかけてくれた(一社)佐渡生きもの語り研究所さん、ありがとうございました!
池野牧場さんで車を降りると、牛舎から「ゥモーーーーー!」とひっきりなしに聞こえる牛たちの声。池野さんの声もかき消されるほどの大きな鳴き声に、子どもたちも少しビビり気味。

大きな声の原因は、仔牛にお乳を飲ませたい母親たちが、モウ抗議していたのです。仔牛がお乳を飲まないと、母親もお乳が張って辛いのだそうです。

「待たせてごめんね」と、参加者で成牛と仔牛の間にある柵を外してあげると、仔牛たちは一目散に母親の元へ駆け込んでいきました。抗議の声もひと段落したあとは、早速グループに分かれて牛舎内の掃除と、餌やりをしました。

大きな塊のビニールを裂くと、中身は乳酸発酵させた草がロール状に。独特な発酵臭がします。牛は4つの胃袋を持っていて、1番大きな第1の胃袋が満たされるまで、長い舌を干し草に巻き付けながら、どんどんと平らげて行きます。(第1胃の容量は約100ℓだとか...)大動物の食欲を間近で感じた瞬間でした。


代わって中学生と高校生には、牛舎内の掃除をしてもらいました。初めて間近で接する大きな牛たちに戸惑いながらも、池野牧場の従業員の方々に教えてもらい、足元の糞をかき集め、きれいになった場所には新しいもみ殻をまいて行きます。近くで接してみると、それぞれの性格が何となく見えてきます。神経質な牛、新参者の私たちにも動じない牛、人懐っこく近づくとザラリッと舐めて来る牛。

干し草の他に、稲わらも一緒に食べさせます。干し草も、稲わらも、池野さんの農場で刈り取ったものです。牛たちの部屋にまいてあげたもみ殻も、池野さんの育てたお米のもみ殻。そして、掃除してかき集めた糞は、堆肥となって田畑の土を豊かにしてくれます。

前回のめぐり塾in鷲崎では、ワカメや魚の残さを堆肥化し、米づくりをしている農家さんに登場してもらいましたが、今回は牛が身近にいるからこその、循環する農の仕組みも発見することができました。ほんの少し前までは、各家庭に1頭は牛がいて、当たり前だった農村の暮らしが、池野さんの元にはまだ残っていました。

牛舎での体験後、お昼ご飯を挟んで、池野さんから6月頃から始まる林間放牧について、少しお話していただきました。昭和40年代には島内で3,000頭いた牛たち。高千では飼育している牛のほとんどが林間放牧されていました。しかし、徐々に軒数が減り、今ではドンデン山での放牧は、池野さんの牛数十頭だけに。牛たちが食むことで美しく保たれてきたドンデン高原の芝も、池野さんの牛たちだけでは間に合わず、荒れ始めているのだそうです。

林間放牧の様子がイメージできたところで、午前中に作業をした牛舎とは別の、少し山へ入ったところにある牧場へと足を延ばしました。海岸段丘の田んぼを抜けると、運動場でのんびりする佐渡牛たちが。ここにいる牛たちは種付けを終え、春には山へと上がる予定です。山を知り尽くしたベテラン牛が、若い牛たちを連れて行ってくれるのだそうです。夏にドンデンに上がったら、彼女たちに会えるかもしれませんよ。


めぐり塾in高千の最終目的地は、佐渡牛の競りが行われる「高千家畜市場」。JA佐渡の菊池さんに案内していただきました。年3回行われている牛市には、県外からも買い付けに関係者がやってきます。佐渡生れの仔牛たちが、いずれ名高いブランド牛になるわけです。次回の牛市は4月2日。ご興味ある方は、是非足を運んでみてはいかがでしょうか。(佐渡牛についてはこちら)

そして、めぐり塾恒例のこびりは、参加者の期待を裏切らない「佐渡牛」でした。色んな意味で貴重なお肉を、最後にみんなで味わいました。
「牛の世話をして、最後に肉を食べることで、より牛農家さんの仕事や命を頂くことが身近に感じられた」
参加された方の感想から、池野牧場さんでの体験に始まり、市場の見学、こびりまで、詰め込み過ぎたかな?と心配もありましたが、一日を通して様々なことを感じてくれたのだと、嬉しく思いました。

全てが循環し、巡っていた仕組みだからこそ、その一つが欠けることで、うまく回らなくなってしまう。世界農業遺産(GIAHS)って、きっとその仕組みのなかにある、小さな片鱗ひとつひとつなのかもしれません。
その片鱗を拾い上げ、気付くきっかけ作りをこれからもしていきたいな。
最後に、今年度佐渡めぐり塾開催にあたり、ご支援ご協力をいただいた行政、現地の皆さま、そして楽しんで参加して下さった参加者の皆さまに感謝申し上げます。
4回に渡って素晴らしい写真を撮って下さっためぐり塾スタッフと、「一緒にやろう」と声をかけてくれた(一社)佐渡生きもの語り研究所さん、ありがとうございました!
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