読者の皆さんこんにちは。
小木町地区担当の奥野です。

今年も残すところあとわずかとなってまいりました。

今回は町並み保存(≒重伝建選定)に取り組むうえで、
必要不可欠な保存対策調査についてお伝えします。

小木町地区では歴史ある町並みを後世に残そうと、
おぎ町並み保存推進委員会が中心となって町並み保存活動に取り組んでいます。
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↑住民への聞き取りの様子。小さい頃は芸者がまだたくさんいたとのこと。

こうした住民活動の盛り上がりを受けて、
佐渡市では今年から来年にかけて保存対策調査を実施することになりました。

保存対策調査とは、以下の目的で行われるものです。

①小木町の歴史的価値をらかにする
②保存と活用をしていくための方策を示す


佐渡市が小木町地区を伝建地区に指定するには、
この調査によって価値が認められなければなりません。

伝建地区の先輩方(福島・大内宿、埼玉・川越、岐阜・白川郷など)がみな通ってきた道です。
もちろんお隣、宿根木も昭和55年度に調査を経験しています。
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↑最終的に作られる報告書。100ページを超える厚みがある

第1回の調査では、奈良文化財研究所の調査員3名が小木町内1,330棟すべての外観を調べ上げました。
(私も同行したのですが、4日間ほぼ歩きっぱなしで総歩行距離は20キロ超え・・・)

外見からおおよその建築年代を算出する技術は流石のものでした。

続いて第2回、第3回の調査では外観調査によって絞り込んだ物件の内部調査を実施しました。

①図面の作成
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↑柱の1本1本に至るまで丁寧に計測していきます。

②所有者への聞き取り
見ただけではわからない家の歴史を聞き取ります。
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↑話をしているうちに昔のことを思い出す場面も。

③写真の撮影
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こういった調査の積み重ねで、小木の建物や町並みが持つ特徴を明らかにしていきます。
同様の調査を来年度末にかけて、あと5,6回実施する予定です。

重伝建選定という目標に向かって必要な調査ではありますが、
それ以上に調査をきっかけとして文化や歴史が掘り起こされること、
地域に関心を持つ人が増えていくことに意義を感じています。


~文化庁調査官との意見交換会での一幕~

あるお母さんの言葉
正直、町並みがどうとかはよくわからないけど、最近は娘のほうが詳しいみたいです。学校の授業で習ったとかで案内をしてくれました。将来、都会に出たときに、友達を連れてきたくなるような町になっていったら嬉しいと思っています。

ある大工さんの言葉
「若い人が住む家を施工するのはとてもやりがいがある。町並み保存を通してもっともっと増えていってくれたら。」