佐渡市地域おこし協力隊サイト

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2020年12月

 随分前のことになりますが、岩首集落のおばあさんから『もんぺ』の作り方を教えてもらいました。
もんぺは、昔は野良仕事には欠かせない仕事着でした。洋服が普及してから、着る人があまりいなくなりましたが、腰回りがゆったりしていて動きやすく、すぐれた衣服です。

 最近では若い人が現代風のおしゃれなものを開発するなど、その価値が見直されてきています。もんぺをはいているおばあさんを見かけたときに、その姿がとてもかわいいと私も思いました。
昔から愛用されてきた服には、今の服にはあまりない温かみがあって、機能もすぐれているものが多くあります。時代の流れの中で消えていくには寂しい文化だと思います。

 昔は、自分でもんぺをつくっていたと聞き、せっかくの機会なので実際に作り方を教えていただきました。
 もんぺを縫う布には、おばあさんの着物を利用しました。1着の着物から2人分のもんぺを縫うことができます。
 最近の『もんぺ』はウエスト部分にゴムが入ったものが多いですが、今回は、おばさんが若いころから実際に愛用してきた、前後を紐で結んで締めるはかま型の本格的なもんぺです。
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裁縫が苦手な私。

最初は「難しそう…完成するのだろうか…」と思っていました。

けれど、実際には直線裁ちと直線縫いで作れるので、思っていたよりもスムーズにできあがりました。
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 おばあさんが若かったころは、実家に帰省した時に新しい反物でもんぺや上っ張り(上着)を縫ったそうです。
 日本がまだ貧しかった時代。
 女性たちは毎日休むことなく早朝から夜遅くまで農作業や家事に勤しみました。
自分のために身に着ける物を仕立てるような時間が持てるのは、帰省した時だけだったのかもしれません。

「実家に帰る時期をいつも楽しみにしていたよ」

時にはそんな昔の懐かしい話をしながら、少しずつもんぺを縫い上げていきました。
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朝から作業を始めて夕方にはなんとか完成しました。

20年ぶりくらいにもんぺを作ったよ」

とおばあさん。

もんぺは着なくなった着物を無駄なく活用でき、家庭菜園や掃除の際など今の暮らしの中にも取り入れやすいと思います。

おばあさんが使っていた着物に手を加えることで、私が着るもんぺに変身しました。

生まれ変わったものを、これから大切に受け継いで身に着けようを思います。

今は、着る物は既製品を購入すれば簡単に手に入れることができます。

そんな時代の中でも、おばあさんのモノを大事にする心や、知恵と工夫を凝らした暮らし方は、たくさんのことを教えてくれます。

先日機会があり、高千漁港から漁師さんの板引き漁のお手伝いをさせていただきました。
午前3時半に高千漁港を出港、16時ころに高千漁港へ帰港という予定でした。
漁場までおよそ一時間、計3回網を下ろして帰港の計画です。

板引き漁という漁法は今まで知らなかったのですが、底引き網漁の一種で網口の両側に板を取り付け網の口を大きく広げる漁とのことでした。
こちらは新潟県HPの漁法紹介から板引き漁の紹介です
新潟県の主な漁法(板びき網)


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漁師さんが出航前に網の補修をされています



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船の後部両側に金属製の大きな板(開口板)があり、これを網の口元近くへ付けて網口を広げます

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網を流していき開口板も下ろしました

ゆっくり網を流し約800mくらいのロープを伸ばし終わったら、およそ2ノット弱(歩く速さくらいと聞きました)で船を進めていきます。
網を引く速度が早いと網が海底から浮いてしまうそうです。
漁場は深さ250m~300mと聞きました。
一時間程度船を進め、網を引き揚げます。

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ロープを巻き上げ網が見えてきました。
開口板も船に掛けてあるのが見えると思います。
引き上げるときにはもう明るくなっていますね。

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網が揚がってきました。

引き揚げたら、次の漁場へ移動しながら手作業で仕分けします。
南蛮エビ・ボタンエビ・タラ・ハタハタ・ハチメ・タコなどいろいろでした。
揺れる船の中で膝をつきながらの仕分けはなかなかきつかったです。

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仕分けを終わって一息、海から見る佐渡も綺麗ですね。

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水揚げされたエビカニなどなど

今回漁師さんにお誘いいただき、初めて長時間の漁へ同行させていただきました。
邪魔をしてはいけないと事前に睡眠をしっかりとって酔い止めを飲んで挑戦しましたが、一度目の網を下ろす前にすでに船酔い。
その後は気合いでなんとか耐えてお手伝いしましたが、午後になるまでおにぎりが食べられませんでした…
漁港について陸に上がってからも、歩くたびに足元が沈み込む感覚が消えなかったです。
翌日はずっと揺れに踏ん張っていた下半身の筋肉痛と、仕分けで擦れた膝の痛みが残っていました。

今回貴重な経験をさせていただき、お店に並んでいる魚介類というのは漁師さんのこれだけの作業の結果なんだと感じることができました。
今後も機会があれば、またお手伝いさせていただきたいと思います。

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