佐渡市地域おこし協力隊サイト

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射手

こんにちは、金井地域センター 伊藤です。

 

佐渡の春は、お祭りの季節です。この時期、佐渡の至る所で祭りが開催されています。金井地域では4月14日金曜日、15日土曜日に新保八幡宮で「新保まつり」が行われました。新保まつりは、「射手」を中心として先のブログでご紹介した「下り羽」などの神事が執り行われます。

 実際の全日程としては、「射手」は最終日の15日土曜日に流鏑馬を行うために13日木曜日からお宮に上がり3日間の神事に参列します。一昔前には、この3日間は境内にある籠所(こもりじょ)で過ごさなければなりませんでした。現在では、そこまでは行わないようです。

 今回は、例祭のようすとして「射手(いて)」と「下り羽(さがりは)」を中心にご紹介いたします。具体的にどのようなことが行われるのか、この神事に関わりがない方には知ることがないと思います。この機会にひとつの記録としてこのブログに残したいと思います。

 

【13日】「射手」が宮に向かう

射手宿にて神主からのお祓いを受け、出立します。

射手宿お祓い

お祓いのようす


出立-001

射手宿から出立


午後、「射手」は介添以下の付き人を引き連れて新保八幡宮を目指して射手宿を立ちます。道すがら、付き人達は「ザーザーホイ」と大きくかけ声を上げながら歩いて行きます。このかけ声がなぜ「ザーザーホイ」なのか現状では分かりませんでした。

出立-002

「ザーザーホイ」とかけ声を掛けながら歩みを進める

  

途中、宮に上がる前に体を清めるため、清めの場所に立ち寄ります。
禊ぎ場-1
禊ぎ(みそぎ)場

体を清めた後、宮に上がり最初のお祓いを受けます。

宮へ-1

本殿でのお祓いを終えて下がった後、本番15日に向けて流鏑馬(やぶさめ)の練習を行います。残念ながら15日は雨になり流鏑馬などの神事は中止になりましたので、幻の流鏑馬となりました。

流鏑馬-001

流鏑馬-002

「射手」による流鏑馬練習

【14日】宵祭り

あたりが暗くなる夜の7時、「射手」は介添を伴い露払い、太刀持ち等の付き人を引き連れ本殿に上がります。

宵祭り-4

宵祭り-3

宵祭り-1

神事のようす

本殿では、灯りを消し提灯の明かりを頼りに宵祭りの式典が執り行われます。

宵祭り-2
宵祭りの「下り羽」

最後に「下り羽」の披露がありました。「下り羽」は神の使いがお越しになることを知らせるため、お囃子でお向かいするものです。宵闇の中、幻想的な神事が執り行われました。【追記】

 

【15日】例大祭

この日も例祭式典が本殿で執り行われます。

例大祭本殿へ-001

例祭のため本殿へ

例大祭式典-001

神事のようす


例祭式典が終わると本殿前で鬼太鼓が奉納されます。

鬼太鼓-001

鬼太鼓が終わると、再び本殿で射手行列のために祭礼が執り行われます。

「射手」は流鏑馬を行うためのお祓い、御神輿のための神幸式(しんこうしき)が行われました。

流鏑馬神事-001

流鏑馬のための神事のようす


神幸式(しんこうしき)は、神輿渡御のために神霊が宿った御神体などを神輿に移して渡御するために行われます。

神輿式典-001
 
神幸式

 

最後に「下り羽」の披露がありました。

 

 下り羽

流鏑馬の衣装姿-1
流鏑馬の姿

鬼太鼓が行われたあたりから雨模様となりました。射手行列、流鏑馬は残念ながら中止となりました。

この後雨の中、「射手」は鬼太鼓を先頭に射手宿に向けて帰路につきました。

 射手宿へ-001

射手宿への行列

 

ご紹介したこのような神事はまだ佐渡のあちこちで執り行われています。しかし、人口減少の影響で各集落の祭りの番にあたった組は「射手」の確保にご苦労されながらも何とかこのような祭典が維持をされているようです。

伝統を守るため、いつまでも続けていただきたいのですが、現実は益々厳しい状況にあると、印象を持ちました。

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【新保まつり】

新保まつりは、金井地域の金井新保、西方、大和田の3集落の産土神(うぶすながみ)である新保八幡宮とその別当である大慶寺のお祭りです。

例年415日に4組の鬼太鼓が各戸をまわって悪魔祓いの舞を行い、新保八幡宮に集結し鬼太鼓が神社正面で乱舞する。その後に射手行列(流鏑馬(やぶさめ)・下り羽など)の神事が行われます。

 

あれよあれよという間に、もう週末。12日から山王祭りが始まります!お天気が心配ですが、今は神様に祈るだけ…。

さて、山王祭りの神様といえば…白塗りに赤い紅がなんとも凜々しい射手さんです。

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4月14日大祭、朝の7時から夕方まで、1日大役を任されるのは、新穂北方・上新穂・下新穂の3つの集落から毎年持ち回りで2名選ばれる男の子たち。神様の代わりとして、大祓の儀式や、塩くみ(新穂の街中を馬で移動し、現在はその後車で住吉まで塩くみの儀式へ出かける)、流鏑馬などなど祭りの神事の中心にあり、14日の主役と言っても過言ではありません。

そんな神様を、ずっとお世話し続けている方がいると聞き、お話を伺いに行ってきました。

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味のある真っ赤な扉は、新穂の街中に昭和5年から店を構える「かわらパーマ」さん。店内も、昭和にタイムスリップしたかのようなレトロな雰囲気で、何とも落ち着きます。(昭和生まれですので。)

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ご主人曰く「うちのばあさんの頃から…」山王祭りで射手さんの着付けをされているかわらさん。昔は射手さんを出す家々で着付けを済ましていたので、祭り中に着崩れを直す程度だったのが、いつからか着付けをお願いされるようになり早50年あまり。毎年暮れ頃、翌年の射手さんが決まる時分にはどんな子が来るか、いつも気になってくるのだそうです。

今では子供が少なく、集落から射手さんを出すことが難しくもなってきています。島外に住むお孫さんに依頼するケースも増えています。それでも、800年以上と言われる祭りの歴史を途切れさせないために、皆できることをやっている。

祭りの存続は、どこに行っても危うく厳しい現実がありますが、個人ではできなくなってきた部分を、周りが応援する、続けさせていこうと踏ん張る力が、佐渡には根強くあるように感じます。

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「射手さんをやるのは、嫁さんをつくるのと同じ意識なんだよ」

ハレの日は、誰にだって嬉しいもの、尊いもの。80歳を過ぎたかわらさん、ハレの日の立役者の一人です!

 

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